アバターラ
今日はくんくんの誕生日だ。
いつもくんくんは誕生日の日は会社を休む。
誕生日くらい働きたくないんだそうだ。
そして、一歩も外に出ないことにしているようだ。
もう何年も前から、何をあげたらいいのかわからないのでくんくんが好きなペンギンか、またはうさぎのもの、
または傘や靴などの実用品をプレゼントしている。
「ロールケーキが食べたい」
というので、仕事の帰りに買って帰った。
たぶんくんくんにとって、何を一番して欲しいかと言えば、
ただ家にいて話をしたり、ゆっくり時間を過ごしたいのだと思う。
「一緒にいる時間ももうそんなに長くはないのだから」という。
もしもくんくんが何かでこの次元からいなくなるようなことがあったら、
残された親戚、家族のために絶対にばれないような自分そっくりのアバターラを用意してから去るという。
そんなことされても、本当のくんくんじゃないならイヤだよ、というと、
「すべてのものの幸せを望むものとして、
絶対にわからないようなアバターラを用意することくらいお茶の子さいさいだよ、
見くびってもらっては困る。」
なんだかくんくんがそういうのなら、本当にそうするのかもしれないと思ってしまう。
でもくんくんはもうすぐどこかへ行ってしまうのだろうか?
アバターラでもいて欲しいか
アバターラならいないほうがいいのか
今はわからないけど、本物のくんくんがどこかで幸せに微笑んでいるならそれが一番良いのではないか。
本物のくんくんがそばにいるうちに、生まれてくれてありがとうと、もう一度伝えておこうと思う。