くんくんスペック
くんくんは動作がとてものろい。
とっても丁寧なのだけど、だから遅くなるのではなく
同時に2つ以上のことが出来ないからと言うのもある。
くんくんは花粉症なので、毎年この時季はユーカリのエアスプレーを作ってあげているのだが、いい加減、自分で作れるようになった方が良いよ、と言って、作り方を紙に書いて渡した。
それを見ながら自分で作っているのを見ていたけど、やっぱり、瓶に入れるときにこぼす、時間がかかる。
作りながらくんくんが言う。
「自分が不器用なのは知っているでしょう?
その上、時間がかかる。」
うん、知ってる。
「肉体的なスペックが魂に対して低すぎるんだよ。」
確かにそうですな。
くんくんの魂にはそもそも肉体は必要ないというか、おさまりきれないんだろうと思う。
以前、いってた
「肉体という容れ物に入れるために魂をギュッと圧縮してる。」
みんなそうなんだろう。
くんくんはそれでいらつくわけでもなく、
「持たざるものの気持ちを知るためにここにいる」
と言っている。
そうなると完全じゃない肉体に入っていることは、なるほど、と納得してしまう。
くんくんの左手は血管がぐるぐると渦巻いているので拍手をすることが出来ない。
強く握ったり、手のひらを押しつけるようなことも無理だ。
冬になると特に痛くなるんだそうだ。
手は神経がたくさん集まっているので手術は難しいと小学生の時に行った外科医の先生が言った。
リスクを冒してまでと判断して手術の方向はあきらめたのでぐるぐる血管とくんくんは共存している。
っていうか、血管もくんくんの体の一部。
くんくんは菌は共存しているものだと言って、清潔にしすぎないようにしている。
もちろんお風呂は毎日はいるし、何なら朝もシャワーしている。
でも日本人は普段から除菌しすぎてかえって抵抗力を弱めている結果になっていることをよく話している。
アルコール除菌など本当にしすぎは良くない。
常在菌まで殺してしまって、無防備になり、アルコールがなくなったときに誰も(いつも一緒に暮らしてる菌のこと)守ってくれないので余計に強い菌が来たときに防げない。
くんくんは病気をしない。
滅多にしない。
病院もたぶん生まれてから2回くらいしか行ったことがない。
赤ちゃんの時とあとは忘れた。
寝れば治るといって薬も飲まない。
本当に一晩でだいたい治っている。
真冬でも半袖のTシャツと短パンとビーサンは相変わらずだ。
やっぱりスペックは低くはないのではないか?