くんくん哲学と修行中ヨーギ

哲学者くんくんと修行中ヨーギの日常会話

くんくんとヴィシュヌ神

我が家のキッチンは狭い。

目の前の山を見ながら調理したかったの

で、対面式のキッチンにしたため、細長

い感じで仕切られている。



私一人なら快適だけど、ちょっと背の高

い男2人が入ってくると、一方通行でど

うにもじゃまくさい。



そこでバケツリレーのように、冷蔵庫の

中の物をとってあげたり、戻したりとい

う助け合いが効率が良い。



くんくんの長い脚に躓くこともある。

「あ、ごめん!」



するとくんくん

「爪は大丈夫ですか?」

というではないか。


その瞬間、ある名前が浮かぶ

「くんくんはヴィシュヌですか!」



当の本人、ちょっときょとんとしてい

る。


もちろんヴィシュヌがヒンドゥー教の三

大神ということは知っているのだけど。



ブラフマ・ヴィシュヌ・シヴァ、

それぞれは創造・維持・破壊の役割があ

り、そのトリムルティはあらゆる世界の

真理である。



その三大神の中で、誰が一番エライ神様

か?を決めようとリシ達が話し合ってい

た。

最初にブラフマンのところへ行った。


ブラフマンは、その権威におぼれ、たく

さんの弟子達の前で偉そうにしていた。

 

シヴァは奥さんとずっとベッドにいて、

確か八千年だったか、(数字は定かでない

がインド的だった)待っていたけど出てこ

ないから、ヴィシュヌ神のところにいっ

たら、グーグー寝ていた。



なかなか起きない。

そこでなんと、試しに蹴っ飛ばしたらし

い。

なんということ!



するとどうでしょう。

ヴィシュヌは目を覚まし、こう言ったで

はないですか。



「足は大丈夫でしょうか?怪我はありま

せんか?」


じゃじゃーん。



その懐の広さにその人(誰だっけなあ)

はいたく感動し、ヴィシュヌこそが最高

神だ!ということになったという話。



ヴィシュヌ派の人が考えたんだろうと思

うけど、でもなんか、納得できちゃう感

じ。


その時のヴィシュヌの言葉がよみがえっ

たのだ。




「爪は大丈夫ですか?」


おそらく、その数ヶ月前に、私の足指の

爪がはがれかかっていて、ずっと絆創膏

を貼って保護していたのがくんくんの記

憶にあったのだろう。



そのインドの話をくんくんにしてあげる

と、ふふふんと笑っていた。


「自分にとって痛くも何ともないことで

あれば、相手のことを気にかけるくらい

の余裕はある」

らしい。



そうなんだろうなあ、そういうことなん

だろう。

すべては。

自分の許容量が少なければ少ないほど、

相手にその分を求めてしまい、ちょっと

たことで怒ったり恨んだりすることが

多くなる。



自分にとってそんなことはちっぽけなこ

とであるとすれば、取るに足らないこと

になる。


不平不満が多いということはそういうこ

となのだ。



1時間くらいして、



「しかし、自分のこどもを神だと思う気

持ちはどうですか?」



と聞いてきたので、きっと気に入ったん

だと思う。



「あー、神を産んじゃったなあと思う。」

と答えておいた。