くんくんが少し嫌な気持ちになるもの
くんくんは人は好きではないけど、動物に関しては愛情を見せる。
あるときこんなことを言っていた。
「ゴミ捨て場のネットの絵で、カラスが涙をこぼしている絵を
見るだけでちょっと嫌な気持ちになる。」
ネットをかけるとカラスが生ゴミをあされないので食べ物がない、
悲しい、泣く、というイメージなんだろう、その絵を描いた人は。
そしてまたこんなことも言っていた。
「釣具屋の看板で、魚が笑いながら嬉しそうに、
わーい、ご飯だ~と釣り竿の先の餌に食いつこうとしている絵
も嫌な気持ちになる。」
人にだまされる魚とそれを遠くから見る人間。
「なぜ、それを笑顔にした!」とも。
そう言えば、くんくんがまだ小学生の頃、駅前の川の近くで子猫が
ミーミー鳴いている声がするといって、毎日のように通りかかると
姿を探していた。
川があるので、落ちて何かに引っかかって出られなくなっているのでは?
と心配していたのかもしれない。
でも姿は見えない。
しばらくしてくんくんが言った。
「あれは近くの薬局から流れてくる何かの音だった。」
スーパーや薬局などでは、音や映像を小さなモニターを使ってCMとして
流し続けていることがある。
どうやらミーミーの元はそれであったらしい。
しかも、猫が鳴いている声が入っているのではなく、くんくんにはその音が
まるで困って鳴いている猫の声のように聞こえたのだ。
わかったときのくんくんの気持ちを考えると、なんとも言えない。